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大学への委託研究

大学への委託研究

1.はじめに


千葉工業大学
デザイン科学科
佐藤教授

デザインを見る行為には、対象をどのように見るかという基本的な問題が存在しています。それは、単に対象のどの部分を見ているかという問題にとどまらず、人間の認知的な構造や、印象にまで関わる問題といえます。

本研究室では、デザインに対する人間の視覚認知的性質を研究していますが、今回は屋外広告を対象として、時間の経過によって対象に関する記憶がどのように変化するかを調査しました。

2.研究の目的と概要

屋外広告の印象や記憶が時間の経過によってどのように変化するのか、
またその結果とデザイン的特徴との関係を、
イメージ評価および記憶再生実験によって明らかにすることを目的とします。

複数の屋外広告サンプルに対し、その印象を評価する実験を行います。
評価後に別室に移動し、見たものを思い出して描く再生実験を行います。

10日後に同様の再生実験とインタビユーを行い、広告がどのように記憶されているかを調査します。

結果を考察し、どのようなイメージ、
またどのようなデザイン的特徴を持つ広告が記憶に残りやすいかを明らかにします。

3.屋外広告サンプル


矩形(平面的)サンプル

変形(立体的)サンプル

実験対象のサンプルは、被験者が知っているものが選ばれないよう、
海外の文献に掲載されているものを中心として、
傾向の異なる12種類を選定しました。

その際、オーソドックスな平面的なものと、
個性的、立体的な表現のものという2グループに分け、
それぞれ6種類としました。

これは、立体的、個性的な表現が、オーソドックスで平面的な表現より
印象に残りやすいのではないかとの考えによります。

4.印象評価


イメージ評価の風景

印象を評価する用語は、屋外広告を対象とした過去の研究を参考として、
今回のサンプルに適した印象語対を18組選定しました。

被験者はデザイン専攻の大学生8名としました。

対象サンプルは全て壁に掲示しておき、5m離れた距離から見て、
1枚ずつ評価用紙に記入する方法で全てのサンプルを評価しました。
評価の順序は被験者ごとにランダムに変えて行いました。

5.再生実験


記憶の再生実験(1回目)

記憶の再生実験(2回目)

印象評価後に、隣室に誘導して再生実験を行いました。
再生実験を行うことは事前に告げませんでした。

被験者はボールペンとマーカーペンを使い、思い出しながら描画しました。

終了後にインタビューを行い、印象に残っている点を回答させました。
また、印象が強いサンプルの上位3位までを回答させました。

そして10日後に第2回の再生実験を行い、
1回目と同様の方法で描画させ、結果を比較しました。

6.結果と考察

2回の再生実験に共通して高い再生率と印象度を示したのは、
立体的で具象的なデザインの広告でした。


また、印象評価との関係では、
「強い」、「大胆」などのイメージを持つデザインに高い印象度が見られました。

逆に「繊細」、「落ち着いた」などのイメージを持つものは低い印象度になりました。

1回目と2回目の変化は、全体的には少なかったのですが、
2種類のサンプルのみ大きな変化が見られ、印象度に関して2回目で大きく下がったのは、
アルファベットのDを組み合わせたシンプルな広告であした。

逆に「うどん」とひらがなで大きく表示されたデザインの広告は、2回目で印象度が上昇しました。
これは、抽象的なアルファベットよりも、

具体的な意味を持った「うどん」の方が記憶に残りやすかった

ものと考えられます。

以上の結果から、立体的なものの印象度が高いことが確認されましたが、
表現された内容によっても異なり、具象/抽象、言語的/非言語的といった
二種類の記憶システムの相互作用(二重符号化説)のはたらきが考察されました。

今後は、認知時間の要因やデザインの特徴による誘目性の違い等について、
興和サイン株式会社と協力して継続的に研究を進めて行く予定です。

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